授業はとても面白かった。毎日新しいことを教わる。今まで知らなかった世界ばかりだ。知識が増えるとともに、新しい世界がどんどん広がっていくのが実感でき、嬉しかった。例えば英語。アルファベットも知らず戸惑うことばかり。それでも、全てが新鮮だった。そして数学。幾何は大好きだった。1つの定理を知り、それを使うとまた次の定理につながる。一見不可解な事象でも、それらの定理を組み合わせることによってちゃんと証明できる。古文や漢文も未知の世界だったが、興味深く学ぶことが出来た。
ところが、いつからだろう。今まで理解できていたことが、意味不明になってしまった。今ならその原因がはっきりと分かる。しかし、当時は深く考えようともせず、何とかなるさと楽観していた。次第に、勉強以外のことへウェイトを置くようになり、気がついたときには、取り返しがつかない状態になっていた。そこで心機一転、頑張れば良かったのだが、一度ついた怠け癖はすぐには直らない。その後は、悪循環のくり返しだった。